2020年のカレンダーの最後のページになりました。
何か特別の括りを持った言葉でご挨拶を考えていましたが、只々不安と辛抱が交差した長い長い一年を暮らした思いが致します。
予期せず得た沢山の時間は、自分を知る時間、創作の原点に立ち返る時間でもありました。
糸に触れ、人差し指と親指でこよりを作るように確かめる。幾つも幾つも編み地をこしらえ、山にする
一つの作品が、生まれるまでには、寄り道したり、立ち止まったり、見え隠れするモノを手繰り寄せたり、沢山の試行錯誤が、隠れている
それをなさないと、良い作品は生まれてこないと信じている
着て下さる方にふわあっと、幸せを感じて頂けるような、そんな作品を、ゆっくり、丁寧に創りたい

まるで空から薄紅色の雨が降るように、しだれの梅は枝先まで見事に花をつけてくれました。
垣根越しに行き交う人を和ませ、穏やかな春を演出してくれました。
それでもこの春は、なぜかほっこりしないのです。心のどこかがざわざわして、前に進まない。
未知のウイルス報道のせいかもしれない。言い知れぬ不安が漂っている。
~~~大丈夫、きっと、大丈夫、言い聞かせながら、きれいな色の糸を寄せ集める。
くすみのない、澄んだ色糸を手にかけよう。自由に気ままに編んでみよう。
市松、ボーダー、フェアアイル、、予期せぬステキに出会えるかもしれない。
編むことは、私の大切な、心のrecovery

葉を待たずして咲く春の花は凛としたちからを持っている。
庭の白梅のすこし後ろ、サンシュユが開きだすと居ても立っても居られない。
身体が冷えるのも忘れて一輪一輪振り仰ぎ見入ってしまう。
米粒ほどの花たちが集まって一輪の黄色い花になる。
驚くのはそれから、その米粒たち全てが更なる花火をぱっぱっと咲かせているのだ。
点にも線にも描けないサンシュユの宇宙。
神様のなさる業の、あまりの、不思議。

謹んで新年のお慶びを申し上げます。
年の瀬に新しく生徒さんをお迎えいたしました。
編み物経験者が多い中、針を持つ手からお教えするのは、久しぶりの事でした。
おもて編み、うら編み、、、
表目はこうして糸を掛け、裏目はこちらから糸を回す。
一本の糸が目になって、段になってやがては、かたちになる。
少しずつ、がんばれ!がんばれ!
新しい日差しがこぼれている。
もったいないほどの幸せが降り注いでいる。

おかげさまで、展示会も大盛況に終わらせて頂き、ありがとうございました。
展示会にはオリジナル作品キットを待っていて下さるお客様も大勢お見えになります。
本格的に製図を学ぶ以前、20代前半の頃、私もキットを編み図とにらめっこしながら挑戦しました。
知らなかった技法や約束事を学びました。
一つのものを「仕上げる」という喜びと一緒に。
ショッピングにオリジナル手編みキットを3点アップしました。
頑張って編んでみたい作品がみつかることを祈っています。
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段染め糸かぎ針編みジャケット
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編み込み太ボーダージャケット
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生命の樹 重ねプルオーバー
鬼の霍乱と申しますか、まれにない、大そう酷い風邪を、ひきまして、大切な大切な展示会にマスク姿でのご挨拶、心よりお詫び申し上げます。
初日より、大勢のお客様にお越しいただきましたこと、近隣の青山学園の大きなイベントも重なり、外国の方も含め、多くの方々に作品を観て頂く事ができましたこと、幸せに思います。
私の娘のように愛しい作品達が、お客様の元へ嫁いでいきました。
末永く、お傍においていただけますように。
おこころも、包んでさしあげられますように。
そして、本当にありがとうございました。
すずき かすみ



シーズンオン11月開催の展示会ラインナップです。
すぐに羽織ってお出かけしたくなる作品をたくさん揃えてお待ちしております。