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2020年のカレンダーの最後のページになりました。
何か特別の括りを持った言葉でご挨拶を考えていましたが、只々不安と辛抱が交差した長い長い一年を暮らした思いが致します。
予期せず得た沢山の時間は、自分を知る時間、創作の原点に立ち返る時間でもありました。
糸に触れ、人差し指と親指でこよりを作るように確かめる。幾つも幾つも編み地をこしらえ、山にする
一つの作品が、生まれるまでには、寄り道したり、立ち止まったり、見え隠れするモノを手繰り寄せたり、沢山の試行錯誤が、隠れている
それをなさないと、良い作品は生まれてこないと信じている
着て下さる方にふわあっと、幸せを感じて頂けるような、そんな作品を、ゆっくり、丁寧に創りたい
庭のハナミズキが赤く染まりハラハラ舞う季節になりました。
先延ばしにしていた衣替えも終え、外出制限下、一度も袖を通してあげられなかった何枚ものお洋服を又、綺麗に畳みなおし仕舞いました。
寂しいですね、残念ですね、仕方がないですね、又、来春ねって。
久々にめくるファッション誌には、見慣れない言葉が、いつの間にか連なっている。
ワンマイルファッション、ニュウベーシック、コスパ可愛いいレイヤード、
こなれ感、とろみ感、、、在宅要請と伴に生まれた言葉でしょうか?
家から1マイル位の範囲で、ちょっとした外出に着る服、部屋着でもなく
ラフで、それでいて、只、楽でテキトーな服ではないらしい。
まあ、考えると心なしか寂しくなるけれど、小さな新陳代謝を繰り返しながら、自分らしさを失くさず居よう。っと。
いつ頃からでしたかしら、
今よりずっとアクティブに目一杯の仕事をこなしていた頃から、
老後のための静の趣味について、ふつふつ考えてきました。
1、糸紬 かつて羊毛1頭分の毛刈りから取り組んだが、カーダー作業途中で断念。
道具は既に整っている。いつかリベンジ。
2、お三味線 小唄を粋に唄いたい。どうしても。
3、美しい日本語を学ぶことだけに特化した読書。
4、庭いじり 虫が苦手なので、4番目。
春からの特別自粛生活、ふらふらと庭に出て、毎日庭に下りて、はたと気付いたら
足元の芝をすべて張り替え、数十本の薔薇を植え、毎日土いじり。庭と私が一遍に甦った。
後になって知人のセラピストが教えてくれた、土に触れることで心の安定を得るって。
私の新しい作品は、確かに確かに土の匂いがする。
まだまだ、厳しいこの夏の暑さ、心よりお見舞いもうしあげます。
庭の百日紅は老木ながら満開の花を咲かせてくれている。
枝先にだけクレヨンピンクの花たちを付け、思い思いの揺れかたで風に身を任せている。北国には育たなく、初めてこの木を見た時は何とも不思議な別世界に佇む思いがした。
呆れるほど眺めたのか、幾つもの作品のモチーフになった。
百日紅の枝が大きく揺れると、もうすぐ夏も終わりだよと、どこかで誰かがささやいている気がする。
そうだ、来年の夏までに百日紅の新しいモチーフで、素敵なジャケットを創ろうっと。
(写真の作品、ボレロが間に合わなくて、又の機会に。ごめんなさい)
長雨と忍者のごときウイルスにこころが萎え、怯えている。
こんな時だから、こんな時こそしっかり前を向く術を探そうと試みる。
もう、幾度も。幾度も。
ビタミンカラーの水玉プルは、ぱきっと一瞬にして、心身Recoveryの栄養ドリンクだ。
負けないぞ、負けてなんていられるか、きりっと背筋伸ばして始めるぞ、そんな元気が湧いてくる。
着ている自分も、傍にいる誰かをもきっと元気にしてくれる。
紛れもなく、彼は、黄色の水玉を焼きたてクッキーと連想したらしい。
食欲が出てきた証拠。元気が出た証拠!
この春は、桜の頃から体調を崩していた彼に寄り添い日々を送りました。
来る日も来る日も食事が進まなく、元気が失せていく姿を見ているだけで
たとえようもない不安と悲しみが襲ってきました。
本当に大切なものは、目に見えない直ぐ傍にあることを改めて知りました。
彼の好きな黄色の薔薇たちが、もう二番花を咲かせ始めています。
少しずつ少しずつ、笑顔が見えてきました。
ゆっくり、ゆっくり元気になあれ。
紫陽花の季節になりました。
空が輝く日、何処にも蓋が見つからない曇りの日、こちらのほうが泣き出したくなるような雨の日、昔の事ばかり思い出すしとしと小ぬか雨の日、
紫陽花の花の色は限りなく違う。
誰かが言った魔術師。そのもの。繊細なグラデーションに魅せられながら
今は、こんなに不安な今こそはこの花の持つ芯の強さに心惹かれたい。
藤の花が咲き始めると、何処からともなく必ずやって来るクマンバチが
この春は一度も来ない。
昆虫嫌いの私が怖いもの見たさに、つい駆け寄りたくなる、まんまるで
モフモフの黄色のセーターのクマンバチ君。
ブンブン威張って飛び回るわりにどこか愛おしい。
世界中の幾千万の命が奪われて、自宅謹慎を言い渡された春は、
恐ろしくスローペースで去ろうとしている。
八重の桜も、こぶしもハナミズキも、澄み渡った空の下、心から愛でたひと時はあっただろうか、不安と祈りで春に取り残されようとしている。
クマンバチ君、早く、早くおいで。
藤の花香る内に、終わらぬ内に。
背丈も日に日に伸びてやっとつぼみを膨らませていたチューリップ達に
あっという間に雪が積もった。思いもよらない春の試練。凍えるように震えるように耐えている。
何事もそうたやすくはいかないのだ。よーく、分かっている。じっと我慢して頑張って、
やがて暖かな春が来る。美しい花を咲かせることがきっとできる。
この春の言い知れぬ不安にもじっと堪えてみせるから、どうかどうか
試練ということばには必ず、やがてという春が控えていてほしい。
まるで空から薄紅色の雨が降るように、しだれの梅は枝先まで見事に花をつけてくれました。
垣根越しに行き交う人を和ませ、穏やかな春を演出してくれました。
それでもこの春は、なぜかほっこりしないのです。心のどこかがざわざわして、前に進まない。
未知のウイルス報道のせいかもしれない。言い知れぬ不安が漂っている。
~~~大丈夫、きっと、大丈夫、言い聞かせながら、きれいな色の糸を寄せ集める。
くすみのない、澄んだ色糸を手にかけよう。自由に気ままに編んでみよう。
市松、ボーダー、フェアアイル、、予期せぬステキに出会えるかもしれない。
編むことは、私の大切な、心のrecovery