4月のあとりえ
アトリエの机の引き出しを整理していたら、40年も前に祖父が送ってくれた手紙を見つけました。
幸便と題された封筒も2枚の便せんも、もう薄茶色に変わっていて、どうしてその手紙だけをしまっておいたのかさえ、思い出せないほど月日が経っていました。
そこには、祖父が丹精込めて育てていた花や木のこと、飼っていた柴犬が事故に遭ってから元気がない事など、祖父の日常が細やかに記されていました。同じ文章が繰り返されたり、脱線したりして。
父が長い間家を空ける仕事に就いていたから、祖父は、計り知れないほどの愛情を注いでくれた。
私に弟に。
手紙の最後に、花や木をいつくしむ心を大切にすること、そして、優しい笑顔を絶やさない事とあり、
やっとこの数日快方に向かってくれている主人にも、教えを注ぎたいと思っている。